あわい”の世界への入り口は、日常の生活のふとした闇のなかにあるのでしょう。都会の家々の隙間、曲がった路地の物陰、木立のつくる影の重なり…どれも通り過ぎてしまえば何事もない生活の一部分なのでしょうが、ふと立ち止まってしまった瞬間足を踏み入れることになるのです。特に京都の町はそんな空間がたくさんあるような気がします。舞台は京都の骨董屋から始まります。みっしりとした竹に囲まれた屋敷に住む不思議な顧客に翻弄されるアルバイト学生。小さなアパートで本の壁に囲まれながら実体験の無い物語を若き友人に語る大学の先輩。酒屋の家庭教師をしながら街を彷徨う魅力にとりつかれた青年。どの主人公も微妙な接点がありながらも決定的には絡まず不思議なバランスで物語は進みます。そのからくりは証されたような隠されたような…不思議な読後感でした。それぞれの登場人物の描写が曖昧で輪郭だけ浮かび、全く顔が浮かばないこともそんな読後感に一差ししているのかもしれません。著者の森見登美彦氏は日本ファンタジーノベル大賞受賞作家です。

  • 著:森見 登美彦
  • 出版社:新潮社
  • 定価:1470円(税込み)
きつねのはなし
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書評データ


日本ファンタジーノベル大賞受賞作です
太陽の塔
太陽の塔
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1. 4
森見 登美彦著
新潮社 (2006.6)
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以前にご紹介しましたが、森見氏の「夜は短し歩けよ乙女」(現在文庫版は切れ中)が収録されています。恋愛小説in京都で、面白かったです。
Sweet Blue Age
有川 浩著 / 角田 光代著 / 坂木 司著 / 桜庭 一樹著 / 日向 蓬著 / 三羽 省吾著 / 森見 登美彦著
角川書店 (2006.2)
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