2007年01月03日

☆“あわい”の入り口 『きつねのはなし』

あわい”の世界への入り口は、日常の生活のふとした闇のなかにあるのでしょう。都会の家々の隙間、曲がった路地の物陰、木立のつくる影の重なり…どれも通り過ぎてしまえば何事もない生活の一部分なのでしょうが、ふと立ち止まってしまった瞬間足を踏み入れることになるのです。特に京都の町はそんな空間がたくさんあるような気がします。舞台は京都の骨董屋から始まります。みっしりとした竹に囲まれた屋敷に住む不思議な顧客に翻弄されるアルバイト学生。小さなアパートで本の壁に囲まれながら実体験の無い物語を若き友人に語る大学の先輩。酒屋の家庭教師をしながら街を彷徨う魅力にとりつかれた青年。どの主人公も微妙な接点がありながらも決定的には絡まず不思議なバランスで物語は進みます。そのからくりは証されたような隠されたような…不思議な読後感でした。それぞれの登場人物の描写が曖昧で輪郭だけ浮かび、全く顔が浮かばないこともそんな読後感に一差ししているのかもしれません。著者の森見登美彦氏は日本ファンタジーノベル大賞受賞作家です。

  • 著:森見 登美彦
  • 出版社:新潮社
  • 定価:1470円(税込み)
きつねのはなし
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書評データ


日本ファンタジーノベル大賞受賞作です
太陽の塔
太陽の塔
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1. 4
森見 登美彦著
新潮社 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。


以前にご紹介しましたが、森見氏の「夜は短し歩けよ乙女」(現在文庫版は切れ中)が収録されています。恋愛小説in京都で、面白かったです。
Sweet Blue Age
有川 浩著 / 角田 光代著 / 坂木 司著 / 桜庭 一樹著 / 日向 蓬著 / 三羽 省吾著 / 森見 登美彦著
角川書店 (2006.2)
通常2-3日以内に発送します。


penguin3824 at 23:51 │Comments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!新刊案内  | 話題の本

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この記事へのコメント

1. Posted by ぶらんこ乗り    2007年01月04日 22:28
昨年は京都舞台の青春モノがちょっと注目でしたね。森見さんは私も注目株でした。京都モノでは『鴨川ホルモー』万城目学さんもオススメですよ。そいで“あわい”つながりでは恒川光太郎さんも同じ空気を感じる。いしいしんじの日本版というか、いしいさんはチェコとか北欧の匂いで恒川さんは日本という感覚です。最近は「小説すばる」の作家たちを狙い撃ちしつつ、ファンタジーノベル受賞者たちに手を伸ばしつつあります。
2. Posted by 児玉ひろ美    2007年01月05日 03:59
ぶらんこ乗りさん 昨年の初仕事が貴方とでしたが、今年は初コメント!ありがとうございます。
うーん、今まで貴方とこのジャンルの話しをしたことがありませんでしたね。森見さんは文章の手触り(変な言い方ですが)が気に入っています。そうそう、いしいさんといえば「キューバ日記」が気になっています。今年も楽しく宜しくお付き合い下さい。

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