オール1先生としてマスコミで話題になった宮本延春さんご自身の事を綴ったノンフィクションです。12月15日刊行とのことですがゲラの段階で読ませていただきました。父親にランドセルをはじめとする学用品を全部焼かれるという衝撃的なシーンから始まる氏の小学校時代、心身に傷を負いながら過ごした中学校時代、そして働く意欲を与えられぬ就労環境と続き、その事実は一時も目が離せない展開で私も一気に読みました。最初此処にアップした際、「心理的描写の部分が求めている子どもには届きづらいかもしれません。子ども達が知りたいのはなぜ、その時そう思えたのか?なぜ何かを支えにできたのか?そこに至るまでの心の鍵の探し方や開け方を知りたいのではないかと思います。成功したーいま思えばあれが良かったー頑張ればこうなるーの方程式は頭では解っているのですから…」という記述をしましたが、コメント(是非ご覧ください)でも指摘を頂きましたようにメッセージではなくノンフィクションなのだということから視線を逸らしていたのかもしれません。(ノンフィクションは悩みの最中にいる子どもにとっては諸刃の剣であることだけは自戒しています。)本書は教育現場でどんな会話がなされているのか、子ども達のあきらめがどこから生じるのか、これらについて体験でしか語れない生々しさが満ちています。報道等で繰り返される腑に落ちないことがこの本を読むことで「そうか、そういうことか」と納得する事が多いと思います。むしろ辛い子どもの時代を人に語れぬまま今も苦しい想いをしている方へのエールであったり、子どもに関わることの少ない大人たちに冷静に事実を伝える力があると思いました。子どもを取り巻く環境は全ての大人の共感と理解なしには整えられないのですから…

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書評データ

- 著:宮本 延春
- 出版社:講談社
- 定価:1155円(税込み)
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これだけの内容を、当時を思い出しながら書くということは、かなりの苦痛を思い出して、再度体験するような感覚になったのではないかと想像しています。
この本の中に「子ども達が知りたいと言われる、なぜその時そう思えたのか?なぜ何かを支えにできたのか?そこに至るまでの心の鍵の探し方や開け方」は書いてあると思います。
児玉ひろ美さんは
「成功したーいま思えばあれが良かったー頑張ればこうなるーの方程式は頭では解っているのですから」と言っていますが
この本の趣旨は、メッセージ集ではなくてあくまでノンフィクション物語なので
ここから何を感じるのかは子供まかせで十分だと思っています。
きっと人生の答えは一つではないように「成功」も一つではありません。
大事なのはこの本を読んで自分にとっての大切なものを考えることだと思います。