昨日ご紹介した「狐笛のかなた」について。既にJPIC季刊誌「この本よんで!」にて掲載済みの文章ですが…

記憶を封印され、母親の面影も自分が神々の住まい給(たま)うあの世とこの世の間(はざま)である「あわい」に入る力を持つことも知らぬ少女・小夜(さよ)は夜名ノ里のはずれでひっそりと育てられていました。ある日小夜は夕暮の野で犬に追われる子狐・野火(のび)を助けます。野火が呪者に命を握られた「使い魔」の霊弧(れいこ)であることも知らずに庇う小夜を匿ったのは、異形の者と噂され森影屋敷に閉じこめられた少年・小春丸。それぞれの宿命(さだめ)に生きていた三者はこうして出会います。季節を重ね、一六才になった小夜が守護者・大朗(だいろう)との出会いによって封印を解かれ悲惨な母の死の記憶と共に得たものは領土を巡る争いの怨嗟と野火や小春丸との非情な運命の交わりでした。やがて小夜と野火の出会いの記憶は互いに命を懸ける想いへと変わり、迷いのない決心へ…人は心がねじ切れそうに辛い時でも温かい記憶さえあれば生きていける。そんな気持ちになれる、大人に切ないファンタジーです。

狐笛のかなた
狐笛のかなた
posted with 簡単リンクくん at 2006.12. 6
上橋 菜穂子作 / 白井 弓子画
理論社 (2003.11)
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